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2019年10月 椎葉

  • 執筆者の写真: 小宮山剛
    小宮山剛
  • 2020年2月4日
  • 読了時間: 3分

椎葉村にきて半年が経つ。そんな10月には移動をたくさんこなし、多くの人に会い多くの街を知り、多くの街を忘却した。雨は降り秋雨のこころは濡れ続け、紅く生まれ変わる木の葉が残酷に美しい。


10月。かつて好きだった月。10月。いまはもう好きではない月。

10月・・・。また愛するようになった月。


落実の季節はいつだってロレンスのバヴァリア竜胆を思い出させ、道端で落ち潰れた柿はかつてのような甘味を道路に吸わせ続けている。

10月。いのちの終わり。

10月。船出のはじまり。


10月5日。

川辺の反射がちょっとだけ夏の香り、残り香。

川沿いの小石、名もなき。

ふれれば冷える清流うるわし。


10月5日。

大きすぎたストーブ哀し。

有り余る煙の行方せんかたなし。

(テントサウナの試行in椎葉村・小崎流れるプール)


10月5日。

高級テントサウナ若者の武器。

去りゆくさきは日向、近き。


10月6日。

東京の明かり煌めき。

リトルトーキョー@清澄白河の賑わいはるか遠き。

同日夜の記憶薄らかに消えゆく。


10月8日。

燕三条という地を初めて知る。

SNOW PEAKの雪峰はるかに白く。

Aという道Bという道ありければC選ぶがごとし。

まさに白紙に大図を描くがごとし。


10月8日。

新潟の夕焼け美し。

はるかに望む山やなんといふ。


10月8日。

スノーピークライフなるやいかに。

1987年の時をおもえばそこに遥かな記憶。

父とまたその父集えり。

うつくし。


10月8日。

ただ一軒の民家あり。

希望と美しき邂逅。

損なわれた未来、かなし。


10月8日。

カインの末裔たち。

荒野と聞けばT.S.Eliotさわがし。

緑野と聞けばファーン・ヒルの作者誰だったか。


10月8日。

こわし。


10月8日。

小さきものの群れいとし。

虫は父の化身なり、

そう言った祖母翌朝に南京虫つぶす。


10月8日。

マントル映えいとわろし。

10月31日は横浜・馬車道にガス燈点りし日なり。


10月9日。

らーめん潤うまし。

腹抱え食す。

腹抱え後悔す、耐えることなし。


10月10日。

やたらに食物を合わすべからず。

とんかつラーメン@高千穂・たぬき珍し。


10月12日。

チキン南蛮元祖。

元祖月並みの勢いあり国中にあふれる。

こはフレンチ料理なり延岡の直ちゃん。


10月12日。

我愛汝。

日本人は其んなことを言わなひ。「月がふつくしひですね」とでも訳しておきなさひ。

月が綺麗だつたと女に。

東京暮らしの女はちょつとだけ笑つたのさ。

「Que sera sera. What will be, will be.」


10月13日。

椎葉村村民体育大会。

耳目集めし左近太郎嬉し。

かごのなかのボール二度跳ねて静まる。


10月13日。

椎葉村村民体育大会、栄冠近し。

晩の集会賑やか。

月は遠く美し。

月が綺麗ですね。

遠くにありて女笑い。

こちらの月も綺麗だと静かに言うのみ。

男笑い、月割れて美し。


10月21日。

静岡の紅葉あおあおし。

あおによし、何の句だったか駿府城。

手のひらに書く人と言う字。


10月21日。

山女焼かれて腹白くなりぬ。

目玉虚空見て固着す。

うまし。


10月22日。

いくらが僕たちの扉になだれこんできた。


10月25日。

取材されるひと。

上椎葉ダム閣下見降ろす。

緑濃き。


10月25日。

温泉街のバーの扉を叩けば、控えめに並んだアイラ・ウィスキーに思わずこんばんは。

僕は迷わず、いつもはソーダで割るラフロイグをストレートでもらった。


10月26日。

いとしき。


10月26日。

高千穂はしたばかり見るものとたれか叫ぶ。

上空の橋やわろし。


10月26日。

岸壁にぶつけるカップルの男冷や汗。


10月26日。

やっぱりハイライトはこのお二方との竹田~椎葉村~高千穂~延岡旅!はるばるありがとう!

10月26日。

これでもか、これでもかとひでじ飲む。

延岡の夜月が明るき。

暗いバーの酒黄色く酔う脳内の花。


10月31日。

平家まつりはじまる・・・。

村の周りにうっすらとヴェール紅き。

宵闇に響く鈴の音。


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