top of page
  • 執筆者の写真小宮山剛

椎葉の風

この記事を書いている4月2日は「国際こども本の日」と「図書館開設記念日」が重なる、図書館にとってはなんともめでたい日であります。


「国際こども本の日」は、言わずと知れたアンデルセンの誕生日にちなみ国際児童図書評議会(IBBY)が制定しました。


「図書館開設記念日」は何かというと、明治5年4月2日のこと、東京・湯島に日本初の官立公共図書館である東京書籍館が開設されたことに由来しています。公立図書館に関わる身として、知っておかねばならない日ですね。


・・・そして4月2日と「本」の縁はまだまだ続きます。


1922年の4月2日といえば「週刊誌の日」。日本初の新聞社の手になる週刊誌『週間朝日』と『サンデー毎日』が創刊された日です。


また4月2日は、高村光太郎の命日「連翹忌(れんぎょうき)」でもあります。高村がアトリエの庭に咲く連翹の花を好んでいたことから、こんな名がつけられました。


・「国際こども本の日」

・「図書館開設記念日」

・「週刊誌の日」

・「連翹忌」


・・・いやはや、なんとも本好きにはイベントごとの多い日ではありませんか。


 

さて実は、この4月2日の二日前にとあるプレスリリースが発表されました!


「日本三大秘境の椎葉村に『九州初』『宮崎県初』の機能を備えた交流拠点施設Katerie(カテリエ)が竣工!」と題したこちらのプレスリリース。おかげさまで多くの方にリーチし、Facebook等でのご反応もいただいております。


Twitterでサーチしてみたところ「日本三大秘境の地にこんなの建てて人が来るんか!」とオドロキの声があがっていましたが、ふふふ・・・。三大秘境だからこそ来るんじゃないですか(/・ω・)/


その中に含まれていたこんな写真。こちらは椎葉村の図書館「ぶん文Bun」に置く本棚のサインなんです。

ふつうの図書館では、下手すると「1」とか「9」とかいう番号にすらなってしまっている書架サイン。よくても「日本のおはなし」とか、そういったものが多いですよね。その要因となっているのは写真のキャプションにもある「日本十進分類法」なのですが、一言で言えば「系統的学問分類」であるこの分類法に関して多くを語るのはまた今度・・・(本日はすこし駆け足なのです)。


ともかくここで主張致したいのは、この「椎葉の風」というものは「特別な棚」ではないということです。これは一時的な企画でも、椎葉村の図書館「ぶん文Bun」内の特殊な位置づけでもなく、常設され、かつ他の本棚と同じ重要度をもつひとつの棚なのです。


「日本十進分類法」を離れ自由な本の並びを実現したから「椎葉の風」という自由なテーマで本と本とをつなげることが可能になりました。書架の全貌はまた今度お見せするとして、その立体的・有機的な構造はこれまでの本棚空間と明らかに一線を画しているのです。


「椎葉の風」

それは、椎葉の歴史(平家落人伝説・鶴富姫伝説・・・)や文化(神楽・狩猟・祭事・・・)、そして自然(ダム湖・焼畑・日本三大秘境の景色・・・)、といった様々なテーマの図書を「椎葉」、「椎葉らしさ」という要素に引き寄せて収集するテーマなのです。


つまり「自然科学」とか「社会科学」といった従来の図書館分類(まさに日本十進分類法=NDC)では結びつきえなかった本たちが「椎葉」という世界に引き寄せられ、これまでは隣り合うことのなかった本たちが近接することで新たな物語が生まれるのです。


こうした本たちを、のっぺりと平面的な本棚ではなく立体的な書架に配すること。それを可能にする舞台装置が今、椎葉村交流拠点施設Katerieの図書館「ぶん文Bun」に整いつつあります。


これからは連載的にぶん文Bunの書架サインを取りあげることで、果たしてこの場所にどんな空間ができあがるのか、どんな本たちが集まってくるのか、どんな人たちが集まりたくなるのか。そんなことを想像していただければと思います。


まず第一回のサインは「椎葉の風」でした。

次回は「日本人の心」を取りあげてみたいと思います。


椎葉村ぶん文Bun独自分類「日本人の心」

閲覧数:140回0件のコメント
記事: Blog2_Post
bottom of page